離婚を決断するとき、一番心配し、悩むのが子供のことではないでしょうか。
「離婚をしたい」と思っていても、子供がいると話は簡単ではありません。親権や養育費をはじめ、離婚後のことをきちんと決める必要があるからです。
また、夫婦が離婚すれば、子供はどちらか一方の親と離れて暮さなければなりません。夫婦の問題とはいえ、離婚は子供にとっても人生を変える大きな出来事となります。
子供を連れで離婚を考える際には、子供の気持ちも大切にして、子供のことをしっかりと考えてから決断しましょう。
そして、子供にとって、できるだけ負担をかけないよう配慮してあげてください。
親権と監護権
子どものために離婚しない方がいいと思っても、様々な事情によってどうしても離婚を選択せざるを得ないこともあるでしょう。
これまでは父母が共同でおこなってきた親権を、離婚後は父母のどちらが行うかについて決めなければなりません。
離婚後も夫婦が共同で親権を持つことはできないからです。
協議離婚の場合、話し合いにより父母のどちらか一方を親権者と決めますが、未成年の子どもがいる場合、親権者を決めないと離婚はできません。
協議離婚では親権者が決まっていないと、離婚届が受理されないからです。
だからといって、離婚を急ぐあまり、軽率に、とりあえずという形で親権者を決めることは望ましくありません。
離婚後に親権者を変更しようと思っても、手続きが面倒なうえ必ず認められるとも限らず、後日あらためて話し合おうとしても相手が応じないこともあります。
夫婦は離婚の話し合いとあわせて、親権者についてはどちらにするかを子供の福祉を最優先に考えて冷静に慎重に判断しなければなりません。
未成年の子どもがいる方にとっては、避けて通ることのできない問題がこの親権ですが、引き取る引き取らないに関わらず、今後のお子さんのためにも、慎重に話し合いましょう。
面会交流権
子どもの親権者・監護権者とならなかった親(子どもと一緒に暮らしていない親)にも、子供と会う権利が認められており、これを面会交流権といいます。子供と会う以外にも、メールでのやり取り、学校行事へ参加する行為も面会交流に含まれます。
面会交流は、子供の権利でもあり、子供と一緒に暮らしている親も、離れて暮らす親も、正当な理由がない限り面会交流を拒むことはできません。
面会交流については,これまでは民法にも明確な規定がなく、判例でその権利が認められていましたが、平成24年4月1日に施行された改正民法により、「父又は母と子の面会及びその他の交流」について協議で定めること、協議が整わないときは家庭裁判所が定めること、が規定されました。
これまでは,面会交流は親の権利なのか、両親から愛情を受けて育てられることが子どもの権利なのではないか、という問題提起もなされていましたが、民法改正では、子どもの利益を最も優先して考慮しなければならない旨が規定されましたので、親の権利でもあり、子どもの権利でもある、子どもの権利の方が強い、という理解になるものと思われます。